2017年10月23日月曜日

Anesthesiology 2017 第3日

午前中は輸血とブロックに伴う神経障害について、それぞれリフレッシャーコースレクチャーを聴きに行った。
広い会場にもかかわらず、神経障害の話では会場が満員近くになっており、スピーカーの話のうまさもさることながら、この話題に対する関心の高さがうかがわれた。

・赤血球輸血のガイドラインとして、ヘモグロビン濃度が 7~8 g/dl で輸血を開始し、目標を 7.5~8.5 g/dl にすえるというものがある。(Transfusion 2013; 53: 3052-9)
・輸血は 28 日以内の再入院率上昇の独立したリスク因子である。(Transfusion 2017; 57: 1347-58)
・輸血の実施にはばらつきがあり、エビデンスにのっとっていない。
・輸血実施に際しては、施設において承認されたガイドラインを導入すべきである。
・血小板投与に際して血小板数の閾値は定められていないが、5万/ul 以上での閾値では利点が少ない。
・PT-INR は出血量の予測の指標としては poor である。
・輸血のリスクは過小評価されており、TACO も TRALI もわずかしか報告されていない。

・Postoperative neurologic symptoms (PONS) のリスク因子には、麻酔だけでなく、手術由来のものや患者由来のものがある。
・末梢神経ブロック後は術後も患者をフォローして、合併症が生じたら早くそれを見つけ出し、Neurology のコンサルトを受けたり、電気生理、MRI 検査などを受けるようにする。
・6か月後の PONS の管理として、アクソンの成長が1日 1mm であることから 3 ヶ月ごとに検査を繰り返して、神経移植などの外科的介入も考慮する。12~18 ヶ月後が critical time である。
・超音波によって intraneural injection はわかるが、超音波が PNI を減らすというヒトのデータはない。
・Intraneural injection によって必ずしも機能は障害されない。
・神経に触れない (Don't touch the nerve with the needle) ことのほか、強い鎮静ではなくあくまでも軽い鎮静にすること、少量の局麻薬でのテストをすることが重要である。
・インフォームドコンセント、麻酔記録、エコーでのブロック前後の写真、術前の神経学的診察、病歴の記録が重要である。

午後は Medically challenging case の発表があった。
10分ごとに e-poster が変わるのはめまぐるしく、ゆっくりと記念写真を撮るヒマもなかった。

さらに午後は、麻薬や OSA などによる術後呼吸抑制関連のレクチャーがあった。
・OHS 患者では覚醒と回復は仰臥位を避け、半坐位で行う。

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