2017年10月21日土曜日

Anesthesiology 2017 第1日

ボストンの朝は気温 13 ℃とかなり涼しいのだが、東京とは違い雨は全く降っていなかった。

午前中は気道管理関係のリフレッシャーコースレクチャーを2つ受けたのだが、どちらも主張は似たような感じだった。

・禁忌がなければ、麻酔導入時の気道確保は仰臥位ではなく、上体を上げた体位 back up head elevated position で行う。
・スタイレットを抜く際に、手前に引き抜くのではなく、患者の足元に向けて抜くと気管に沿ってチューブが進みやすくなる。
・ネーザルハイフローを用いて前酸素化を行うことで、挿管困難が予測される患者での酸素化を維持できる。

・困難気道の予測自体が困難なので、つねにバックアッププランが必要となる。
・気道確保は、1回の試技での成功を目指す。
・1つの方法が失敗しても、他の方法が難しいとは限らない。
・困難気道に遭遇したら、事実をわかりやすく正確に麻酔チャートなどに記載する。
・外科的気道確保の技を習得する。

午後は awake fiberoptic intubation のハンズオンワークショップに参加した。
嘔吐反射と咳を抑制するのを目的として、3つの局所麻酔手技を学んだ。

・Periglottic cough ablation --- Superior laryngeal branch of cranial nerve X
 2% リドカインを両側 3ml ずつ
・Gag ablation --- Lingual branches from cranial nerve IX
 2% リドカインを両側 2ml ずつ
・Subglottic cough ablation --- Transtracheal injection or supraglottic spraying
 4% リドカイン使用

トータルにすると、それなりのリドカインの量になるので、注意が必要である。
Transtracheal は野蛮な印象がするので自分はもうしていないので、正直なところ「まだやっていたんだ」という感じがした。

鎮静については、自発呼吸を残すことと、協力を得ることが最も重要だと強調していた。

2017年10月20日金曜日

ボストンに着きました

夕方の JAL で成田を発ち、約 12 時間かけてボストンに到着しました。
ボストンは医科歯科時代の教員研修でハーバードに派遣された時、2012 年の Thoracic Anesthesia Symposium に続いて、おそらく 3 回目だと思います。

前回、ボストン到着時の苦い思い出をせっかく記録しておいたのに、今回もやっぱり同様に市内交通で迷ってしまいました。
前回と違うのはあきらめが良くなったことで、今回はあまり粘らずにタクシーでホテルへ直行してしまいました。

今回は若い先生たちの応援のほか、PBLD やワークショップにも参加する予定なので、それらについても写真を載せたり書いたりしていこうと思います。

2017年10月14日土曜日

東大の OSCE

外部評価者の一人として、東大の OSCE の評価に行ってきました。
これで外部評価者として他大学に訪問したのは3校めです。

今までの 2 校はいずれも医科大学または医学部だけ別のキャンパスにある大学だったのですが、東大の本郷キャンパスは他の学部もいっしょにあり、敷地が巨大で一人では会場にたどり着くことができませんでした。
病院の入り口付近をウロウロしていたら、OSCE の責任者らしき人にうまいことつかまえてもらったというわけです。

さすがに最も伝統のある由緒正しい旧帝国大学だけあり、最近できた大学や病院と違って、いろいろな建物の外見がムダに(?)豪華でした。
安田講堂の前を通った時は、「これがあの有名な・・・」と、妙に盛り上がってしまいました。

外部評価者としての守秘義務があるので、実際の OSCE の内容について書けないのが残念です。

2017年10月1日日曜日

臨床研修医・指導医のための研修会 再び

今年も「臨床研修医・指導医のための研修会」がクロス・ウェーブ府中で行なわれ、1泊2日で参加してきました。

研修が始まって半年たったこの時期に、本郷、浦安、練馬、静岡の研修医1年目が全員、府中に集まり、医療安全について学び、これからの研修をさらに充実したものにすることをねらいとしたものです。

私は教員の一人として参加し、主にオブザーバーとして小グループでのディスカッションを促進するような役回りを仰せつかりました。

この半年の間に指導した本郷の研修医はもちろんのこと、成田ワークショップで出会った他院の研修医と話す機会があり、ついこの前のことではあるのですが、なんかちょっと懐かしい感じがしました。

今回集まったのはほとんどが二十代半ばの若者であり、形はそれぞれであったとしても、少なく見積もってもこれから 40 年以上、医師として勤めることになるわけで、みんなの前途が明るいものになるように願わずにはいられませんでした。

うっかり写真を撮るのを忘れてしまいました。

2017年9月20日水曜日

北村先生、椎木先生送別会

今月で J 大学を離れ、それぞれもともとの所属大学・病院に戻られる、北村・椎木両先生の送別会が行われました。
神楽坂・久露葉亭にて。

2人がいなくなるのはとてもさびしいのですが、急患を次から次へと呼びこむ椎木先生の PHS が再び封印されることになるのは、なんかちょっとほっとするような・・・。
実際、この前日も、当直の椎木先生と一緒に夜遅く・・・というか朝早くまで働かせていただきました。

昭和な感じの店だったためか、写真がちょっと暗い感じになってしまいました。
が、会自体は研修医や留学生を交えて、大いに盛り上がりました。


2017年9月16日土曜日

輪状甲状膜穿刺キット・ハンズオン

医局会のあとで、スミスメディカル・ジャパン輪状甲状膜穿刺キットのハンズオンが行われた。
ブタの気管が40本用意されており、初期研修医を含めて医局員が一人一人キットを試すことができた。

自分はセルジンガー法で挿入するミニトラックIIを使ってみた。
以前にスタンダードキットは臨床で
使ったと思うのだが、セルジンガー法は初めてだった。

針が太いからかもしれないが、16G 針で輪状甲状間膜を貫くのにけっこうな抵抗を感じた。
実際の臨床で刺す時は、思い切りの良さが必要となるだろう。

午後は2回目の医局説明会があったのだが、急患があったので自分は初期研修医1人と話しただけで、大学へ戻ることになってしまった。

2017年9月2日土曜日

日本麻酔科学会支部集会

日本麻酔科学会関東甲信越・東京支部第57回合同学術集会が、新宿・京王プラザホテルで行われました。
今回は久しぶりに胸部手術の麻酔の座長を担当させていただき、6演題の発表と進行のお手伝いをしました。

今回のキーワードとしては、併存疾患の麻酔、awake VATS、ECMO による呼吸補助ということになるでしょうか。
Awake VATS も ECMO も有用であることは間違いなさそうですが、今後はおそらく、どこからどこまで必要かという線引きが検討されることになるのではないかと感じました。

最初の演題が J 大学からだったので、発表者の Y 先生と記念撮影しました。
J 大学内部の人たちに限らず、若い人たちが今後も長く学術的活動を続けられるよう、さまざまな形でアシストしていこうと思います。